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内科・外科・消化器内科・肛門外科

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大腸カメラ

痛くない、苦痛のない大腸カメラを目指して

大腸カメラを受けたことのある方の中には、『痛かった、苦しかった』という方も多いのではないかと思います。
また大腸カメラを受けたことのない患者様からは『胃カメラとどちらが辛いですか?』と聞かれることがあります。
しかしながら、胃カメラの辛さと大腸カメラの辛さは種類が異なるため、一概にお答え出来ません。胃カメラの辛さは主に嘔吐反射に伴うものと胃の張りに対する辛さである一方、大腸カメラの辛さは腸管の伸展に伴う痛みやお腹全体の張りに対する辛さです。
大腸カメラの苦痛を左右する最も大きな要因は医師の技量だと思います。
私は患者さんに苦痛を与えるのが好きではありません。検査中にはいつも患者さんの様子をうかがいながら検査を行っています。患者さんが顔をしかめた際には私自身も辛くなります。ですので、出来るだけ患者さんに苦痛を与えないように自分の技術を向上させるように努力をしています。

大腸はお腹の中を取り囲むように走行しています。カメラが屈曲部を越える際に直線的な方向に力を加えることによって、腸管が伸展されて痛みが出ます。そのため通常は腸をアコーディオンのようにたたみながら、たわみを取りながら痛みが出ないように挿入していきます。大腸を短縮しながら全く伸展させることなく、上手く奥まで挿入できれば痛みはほとんどなく、このような患者様には鎮痛剤も鎮静剤の投与も必要ありません。しかし患者様の中にはどうやっても、一時的に腸管を伸展させなければ挿入できない方もいらっしゃるため、そのような時に痛みが出てしまいます。

患者様の苦痛を軽減するために、当クリニックでは医師の技術を向上させるとともに以下の3つの取り組みを行っています。

苦痛を減らすために当院で行っている3つの取り組み

① 患者さんに負担の少ないスコープを選択しています

内視鏡スコープは下記の2種類を使い分けています。

OLYMPUS PCF-H290ZI
通常はこちらのカメラを使用しています。
ハイビジョンでさらに最大110倍の光学ズームが可能なため、微細な表面構造を観察でき、病変の質的な診断が可能です。さらに通常の大腸スコープ(外径13mm程度)に比べ1.5mmほど細く患者さんへの負担が少ないカメラです。

OLYMPUS PCF-PQ260L
PCF-H290ZIよりもさらに細径のカメラで外径は9.2mmと胃カメラと同じくらいの太さです。また通常の大腸スコープより35cmほど長い作りになっています。腸管の固定が悪く挿入困難な方や、腸管の癒着などにより疼痛の強い患者様に使用しています。もったいない話ですが、年間に数回しか使用していません。

② 苦痛軽減のため、大腸カメラを受ける患者様には鎮痛剤と鎮静剤を使用しています

前述のように大腸を短縮しながら全く伸展させることなく、上手く奥まで挿入できれば痛みはほとんどなく、このような患者様には鎮痛剤も鎮静剤の投与も必要ありません。
しかしながら、短縮しながら挿入し易い方と、そうでない方というのは個人差が大きく、実際にカメラを挿入していかないと判らないことが多いため、始めから少量の鎮痛剤と鎮静剤を使用させて頂いています。
ただし、ポリープ切除の際など検査中に患者様に体位を変えて頂かなければならない場合があったり、また検査後には患者様に安全に歩いてお帰り頂かなければならないため、使用する鎮静剤は必要最低限としています。ほとんどの患者さんは検査中も意識があり、私と一緒に検査の状況をテレビモニターでご覧になっていますので、意識がなくなり呼吸や循環に抑制がかかるほどの麻酔の量ではありません。

③ 検査後のお腹の張り感を軽減するために炭酸送気システムを使用しています

ひと昔前に大腸カメラを受けた方の中には、検査後のお腹の張り感に苦しめられたご経験がある方も多いのではないかと思います。
当院では開院以来、患者様の検査中や検査後のお腹の張り感を軽減するために炭酸ガス送気システムを使用しています。通常のカメラでは普通の空気を送気しますが、空気中の78%を占める窒素は血管内に吸収されにくいため、腸管内に送気したガスが沢山残っていると検査後もお腹の張り感がなかなか取れません。これに比べ炭酸ガス(二酸化炭素)は早急に腸管内から血中に移行し呼気として排出されるため、検査直後でもお腹の張り感を訴える患者様はほとんどいません。炭酸ガスは同様の理由で消化器外科の腹腔鏡手術にも用いられています。

当院では内視鏡検査と同時に大腸ポリープの切除も行っています

大腸カメラを行っている施設でも、大腸ポリープがあった際には同院での切除は行わずに大きな病院に紹介するという施設があります。また検査の時にはポリープがあっても切除は行わず、後日あらためて大腸ポリープ切除の予定を組むという施設もあります。しかしながら上記の場合には、患者さんが2度もあの辛い下剤を内服しなければならなくなってしまいます。当院では患者さんの負担を少なくするため、当院で安全に行えると判断したポリープに関しては検査時にその場で切除を行っています。またやや大きめで入院して切除をする方が安全であると判断した際には近隣の連携医療機関にご紹介させて頂いています。

見落としの無いように丁寧な観察をするよう心がけています

大腸カメラを行い良く観察したはずなのに、2年後に観察したら癌が出来ていたという苦い経験があります。2年前には本当にポリープも何もなかったのか、私自身強い疑念を持っています。私はそれ以来、あまり検査の速さにこだわることなく、見落としをしないように注意深く検査を行っています。通常、いったん奥から大腸を全て観察した後に、患者さんの負担が少なければ、もう一度奥まで挿入し2回観察をさせて頂いています。時々、1回目の観察の際には発見できなかったポリープに遭遇しハッとさせられることがあり、まだまだ技術を磨かなければならないと思うことがあります。

大腸カメラに関係する【よくあるご質問】についてまとめましたのでご参考にしてください。

当院には『血便があったので大腸カメラを受けたい』と言って来院される患者様が沢山いらっしゃいます。でも私は血便があったからといって全員に大腸カメラをお勧めするようなことはしません。なぜなら血便を訴えて来院される患者さんの大多数は肛門からの一時的な出血だからです。中には20歳台で大腸がんを心配されて来られる患者様もいらっしゃいます。(今の時代、ネットで何か症状を打ち込めば、必ず1つは悪性の疾患が記載されているから仕方がないかも知れませんが・・・)
私は診察をして明らかに肛門からの出血と判断できる患者様に関しては検査をお勧めしません。しかし40歳以上で今までに一度も大腸の検査を受けたことない方に関しては、スクリーニングの意味での検査をお勧めすることはあります。
上記の理由から血便が見られたからといって必ず大腸カメラを受けなければいけないということはありません。ただし血便が見られてからあまり時間が経ってしまうと、肛門からの出血であると断言出来なくなることもあるため、血便が見られたらなるべく早めに医療機関に受診してください。

便潜血検査を2回行う理由は1回だけでは不十分だからです。大腸に進行がんがあると判っている患者さんの便を検査しても1回だけでは陽性率が60%程度です。これを2回行うとどちらか片方で陽性と出る確率が90%に上がることから2回行われています。ですので、どちらかで陽性が出た場合には精密検査が必要です。

前年の内視鏡所見によります。全く何も異常がなかったのであれば、受けなくて良い可能性が高いと考えられます。前年、検査を受けた施設に受診しご相談ください。

たしかに下痢と便秘を繰り返すというのは大腸がんの1つの症状ではありますが、下痢と便秘を繰り返すことは他の病気でもあり、むしろ大腸がんであるケースの方が少ないと思います。一度、医療機関に受診をしてください。

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