当院では特に消化器がん【喉頭がん、下咽頭がん、食道がん、胃がん、大腸がん(結腸がん+直腸がん)】の早期発見に力を入れています!
近年の医療機器の発展に伴い、色々ながんが早期のうちに発見できるようになりました。しかしながら、それらの医療機器の中には高額で広いスペースを必要とし、診療所では扱うことの出来ないものも少なくありません。一方、内視鏡検査(胃カメラや大腸カメラ)は比較的に省スペースで行うことができ、さらにCTやMRIなどの大きな医療機器ほど高額ではないため、私共のような地域の小さな診療所でも導入することができ、がんの早期発見に貢献することが可能であると考えています。
当院では内視鏡検査を行うにあたって、さまざまな取り組みをしております。以下に当院での取り組みをご紹介致します。
当院では最新の内視鏡システムを使用し、また通常および経鼻の2種類の胃カメラと、通常および細径ロングの2種類の大腸カメラを使用し、病変の早期発見に力を入れるとともに、患者様個人個人にあった検査を行うよう心がけています。
使用している内視鏡システムはオリンパス社製で、多くの大学病院や専門機関で使用されている最新の機種です。
皆さんは、日本の内視鏡のレベルをご存じでしょうか?国際学会における報告などで客観的に評価しても日本の内視鏡技術は世界のトップです。
またオリンパスという名前を聞いて、パッとしないデジタルカメラのメーカーと思われる方も多いかと思いますが、実は内視鏡の世界では非常に有名で多くの臨床医はオリンパスの内視鏡技術は業界トップであると感じています。実際、オリンパスは内視鏡分野で世界シェアのかなりを占めており、総合的に見てオリンパスの内視鏡をしのぐものは現在のところありません。
当院では内視鏡検査技術のみでなく機種の精度にもこだわりを持って検査を行っています。
最先端の次世代内視鏡システム オリンパス社製 EVIS X1EVIS X1を導入致しました。多くの大学病院や専門医療機関で使用される最新の内視鏡システムです。従来の白色光観察および NBI に加え、 TXI, RDI , API など様々な機能が加わることにより、観察性能が向上しました。
より微細な観察を行うことが可能になり、より多くの早期癌を拾い上げることが可能になりましたが、個人的に一番大きく進歩したのは、経鼻内視鏡の精度だと思っています。
上記内視鏡システムに加え、最先端の細径(経鼻)内視鏡であるGIF-1200N製品情報:GIF-1200Nも併せて導入することにより、格段に経鼻内視鏡の診断精度が向上しました。
以前の経鼻内視鏡では、圧倒的に経口内視鏡に比べ画質が劣っており、微細な病変の見落としの可能性があったため、自信をもって患者様にお勧めすることができませんでしたが、画質が格段に向上したことにより、安心して患者様にお勧め出来るようになりました。診断精度を懸念して、経鼻内視鏡を控えていた患者様も是非ご検討ください。
製品情報:オリンパス 上部消化管汎用ビデオスコープ GIF-1200N
OLYMPUS EVIS X1 :多くの大学病院で使用される最新のシステムです。
当院では検査医、介助者、患者様が見やすいように3台のTVモニターを設置しています。
メインモニターをハイビジョン26型から4K32型にアップグレードし、より高画質大画面で微細な病変の観察が可能になりました。
※オリンパスメディカルシステムズ(株)メディカルタウンより引用 http://www.medicaltown.net/
当院では>胃カメラ2種類、大腸カメラ2種類、計4種類の内視鏡を用意し、それぞれの患者様に合ったスコープを選択しています
上記の胃カメラに加えて、当院では早期のがんを発見するのに有用なNBIというシステムを導入しています。
皆さんは通常私たちが目にする光がいくつもの波長の光からなっているのをご存知だと思います。虹は太陽の光が水滴によって屈折する際に、波長の異なる光が分解されるので7色に見えます。NBIとはNarrow Band Imaging(狭帯域光観察)の略で、血液中のヘモグロビンに吸収されやすい青い光(390~445nmの波長)と緑色の光(530~550nmの波長)の2つの波長の光(狭帯域光)を粘膜に直接照射することで、通常光では観察の難しい粘膜内の血管を見ることが可能になりました。
この装置を用いることによって、特に発見しにくい早期のがんが発見されやすくなりました。
下の写真は食道がんの病変を通常の光で観察したものとNBIを用いて観察したものです。NBIを用いることによって、がんの範囲がくっきりと見えるようになるのが分かります。
皆さんは、胃カメラと言われると何を想像するでしょうか?
やったことのある人はもちろん、検査を受けたことのない人まで、「つらい」「苦しい」などの良くないイメージを持っているのではないかと思います。
例えば、胃潰瘍などのように、激しい痛みがあって検査をするのなら辛い検査でも我慢できるかも知れませんが、何の症状も無いのに辛い検査をするのは納得がいかないものですよね?
でもほとんどのがんは初期には症状が無く、症状が出たころにはかなり進行してしまっているというのが現実です。がんを初期の段階で見つけようと思ったら、症状のないうちから定期的に検査をするしかありません。
幸いなことに、近年の医療技術の進歩によって、下咽頭がん、食道がん、胃がん、大腸がん、などのがんは早期であれば多くのものが内視鏡で切除できるようになりました。手術をしても治るかどうか分からなかったがんが、手術をしなくても治ようになったのです。
自分で治療に携わった方も含め、がんで手術を受けたたくさんの患者さんを見てきました。大きく胸やお腹を切った方、人工肛門になった方、喉を切除し声を出すことの出来なくなった方、大きな手術を乗り越えるという苦痛だけでなく、多くの方は手術後の後遺症とがの再発に対する恐怖に悩まされていました。そのような状況になる前に、何とか早期のうちにがんを発見したいという思いで内視鏡検査を行っています。
下にアルコールやタバコと関係のあるがんをあげました。
上記のがんでは飲酒や喫煙によってリスクが高くなることが証明されています。また胃カメラや大腸カメラを受けることによって、発見できるがんも多く存在します。
現在の国民の死因の第1位はがんなどの悪性新生物で、実に3人に1人ががんで亡くなっています。。
男性の2人に1人、女性の3人に1人はがんに罹患します。
他人事ではなく、明日の自分・・・ひょっとすると今の自分にも既にがんは存在しているかも知れません。
下の表は国立がん研究センターがん対策情報センターから報告された2012年の時点でのがんの罹患数上位の部位です。胃と大腸(結腸と直腸)が上位2位を占めています。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 胃 | 大腸 | 肺 | 前立腺 | 肝臓 | 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸4位、直腸5位 |
女性 | 乳房*1 | 大腸 | 胃 | 肺 | 子宮 | 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸7位 |
男女計 | 大腸 | 胃 | 肺 | 乳房*1 | 前立腺 | 大腸を結腸と直腸に分けた場合、結腸3位、直腸6位 |
*1は上皮内癌も含む
上の結果より食道・胃・結腸・直腸を含めた消化管の検査がいかに重要かをご理解いただけると思います。
「胃カメラとバリウムはどちらがいいのか?」と、よく質問をされることがあります。
検診や人間ドック、胃の調子が悪いなどの理由で、検査を選択しなければならない人にとっては当然の疑問だと思います。
胃カメラもバリウムも確かに同じ胃の検査ですが、検査方法が全く異なるので、2つを直接比べることは出来ないというのが正直なところです。
トンネルを例にとってみると、胃カメラはトンネルの中で懐中電灯を当てながら壁の色や凸凹を見て異常なところを探すようなものです。さらに胃カメラはおかしな壁の一部を採取して詳しく調べることができ(生検)、また最近では悪くなった壁の一部を取り除く事が出来ます(内視鏡手術)。ところが、トンネルの中にいるとそのトンネル全体の形がはっきりと分からなかったり、慣れていない検査員では全体を見たつもりでも実際は見落としがあったりするなどの問題点もあります。また胃カメラの場合の最大の問題点は、検査を受ける際の患者さんの苦痛にあります。
一方、バリウムはトンネルの壁全体に白い特殊なペンキを塗って、それを外から観察するようなものです。壁の穴や凹凸などを外から観察することが出来るだけでなく、胃カメラと異なり全体の形を把握することも出来ますが、あくまでも塗りつけたペンキを見ているだけなので壁の色や細かい凹凸を近寄って見ることは出来ません。さらにバリウムは(ゲップなどをしてしまい)トンネル内の空気の量が足りなかったり、胃の中の粘液が多く壁にバリウムがうまく付かないと、せっかく検査をしてもその精度はずっと落ちてしまったりなど、検査環境による個人差が大きいという問題点があります。また、バリウム検査には放射線の被爆の問題もあります。1回の胃のバリウム検査で受ける被爆量は、胸のレントゲン1回分と比較すると、実に150~300倍になると言われています。胃がんの検診を理由にそれだけの量の放射線を、毎年、浴びて良いものなのか疑問です。
上記のように検査によって利点と欠点がある訳ですが、どちらが良いかという質問に、患者さんの苦痛を考慮に入れなくて良いとすれば、お勧めは間違いなく胃カメラです。
問題は患者さんの苦痛をいかに軽減してあげられるかという事だと思います。
当院では経鼻内視鏡・経口内視鏡を共に行っており、また胃カメラが苦手な方には鎮静剤を用いた静脈麻酔による胃カメラも行っています。詳しくは胃カメラについてのページをご参照ください。
「便に血が混じっている」「便秘気味になってきた」「最近、お腹が張る」などの症状の方は是非ご相談ください。
診察をした上で、必要と判断した場合には大腸カメラをお勧めします。
また、大腸がん検診で便潜血を指摘された方を対象に大腸がんの2次検診も行っています。
詳しくは大腸カメラについてのページをご覧になってください。
当院では胃カメラや大腸カメラを毎日行っています。
特にお仕事でお忙しい患者様の為に、胃カメラは朝8:30頃から行っており、検査後の通勤も可能です。
また土曜日にも胃カメラおよび大腸カメラを行っておりますので、週末以外にお休みがとれない患者様も是非ご相談ください。
当院では開院以来、消化管のみでなく可能な限り喉の観察も行っています。
良く喉の観察を行うことにより喉頭がんや咽頭がんが発見されることがあります。
下の写真の患者様は【胃の不調】を訴えて来院されました。内視鏡挿入時に右の声帯に喉頭がんが見つかりました。
下の写真の患者様は【喉の違和感】を訴えて来院されました。内視鏡挿入時に右の声帯に喉頭がんが見つかりました。